自分の舟作り

スタッフのMです。

先日、小学3年生になった息子が、ふと寝る前に布団の中で
「いつまで、おかあさんに甘えていいの?」と言いました。
「いつでも、お父さんやお母さんは味方だからね、いつまででも、困ったことや、しんどいなって時は甘えていいんだよ」と言うと、安心したのか、すぐに眠りにつきました。

0歳代の人見知りや後追い、3歳前のプチ反抗期、たぶんちゃんと気持ちが整理できて話せる年頃になったら、こういうことなんだろうなって思いました。
外ではもう手をつながないですし、小学3年ではもう抱っこは難しいですが(笑)、何かあったら助けてくれるという安心感がしっかりできると、自信を持って旅立てるのではないかと思っています。
「いつまでも親から離れられない甘えたでは」とか「親が何とかしてくれるという他力本願になるのでは」という心配もわかりますが、親がお手本になれるうちが勝負ではないでしょうか。

以前、精神科医の親子論という講演会で心に残った話がありましたので紹介します。
つい忘れることもありますが、今、私の中で大きな目安になっているお話しです。

0~10歳くらいまでが第一幕。
両親が主人公級で、登場人物も少なく、お母さんはスポットライトあびまくり、感動のセリフばかり。
10歳くらいから20歳までが第二幕。
お母さんのセリフや登場場面が激減り。友達Aとか先生Aなど登場人物が激増。
(それでもアドリブで「きをつけて」「いってらっしゃい」など声掛けは怠らない、カラリと面白おかしく過ごす)

そして、20歳、成人を迎えるわけですね。
これを人生の大航海で例えたお話し。

10歳くらいまでは、自分の舟を作る期間です。
そのため、親や療育者が母港であり、安心安全なドッグになります。
安心安全なドッグで自分の舟を一生懸命作ったら、まずは母港で舟をうかべます。
ここから第二幕ですね、船出の準備です。
ドッグから出て、他の舟を見て、それぞれ違いに気づいたり、ちょっとずつ試験航海を重ねて、うまくいかないところを改良したり、継ぎ足したり、そうして自分の舟を作り上げていきます。

このときに、まだ舟ができていないのに、「がんばれ!」と海へ落とすようなこと、試験航海のたびに、お母さんが舟に乗りこんで、操舵手をしないこと・・・・ここ、響いた箇所です(笑)。
ついつい、一緒に舟に乗りこんで「こうしたほうが、ああしたほうが、あっちのほうが」と言ってしまいそう。

親は子の舟が転覆したり、嵐に巻き込まれたりして、ボロボロになって帰港したときに、どーんと構えたドッグであればいい、そうです。
それがいわゆる思春期の時代です。
そして、20歳になって、大海原へ自分の大航海が始まる、のだそうです。
お母さん自身も、自分の舟があるわけですし、いつでも安心して子供が帰港できる場所になりましょう。

というお話しでした。
うまく言えず語弊もあったり、もちろんすべてがそれでうまくいくわけではありませんが、「全体の流れ」が把握できたような気がして、いつもこころのどこかに「セリフ激減り」「一緒に乗船しない」などを意識しています。

10歳くらい、というのはもちろん個人差ですが、目安としては「身体の変化」という区切りだそうです。
「性」の発達ということですね。
人間は、性が成熟する年齢と、社会的な成熟(親から自立する)年齢に開きがあるため、「人間の子は大変だなあ」と思う、と講師の方がおっしゃっていました^^;

まざかれにいらっしゃるお母さんたちには、先のお話しのようですが、あっという間なんですよー。
ほんとに日々に追われているうちに、子供はあっという間に大きくなっちゃう。
今の、たくさんスポットライトを浴びて感動のセリフを言える舞台を楽しんでください!

ちょっとつまづいたり、悩んだときにヒントになればいいなと思い、つたない文章ではありますがご紹介させていただきました。